【フレックスは損してる!?】フレックス制と定時労働制における残業代の計算法の違い
フレックス制よりも定時労働制の方が残業代が高くつく
フレックス制の会社で有給を使うと残業代が減る
これら全て事実なんです・・・
フレックス制の会社で働いてる皆さん
こんなことを思ったことはありませんか?
『なんか思ってたよりも残業代少ないな・・』
『30時間も残業したのに全部法定時間内残業ってどういうこと?』
実はフレックス制と定時労働制とでは
残業代の計算方法が大きく異なるのです!
今回はその違いについて
分かりやすく解説していきます。
定時労働制
定時労働制とは
会社毎に定めた時間に就業させる制度のことです。
定時が9~17時であれば、どれだけ早く出社しようとも基本的には9時出社の扱いになり、17時以降の就業が残業扱いとなります。
残業代の計算方法
労働基準法において、1日8時間、週40時間を超える残業(法定時間外残業、以下法外残業)に関しては1.25倍の割増賃金を払うことが規定されています。
しかし、法定労働時間の範囲内で所定労働時間(定時が9~17時、休憩が1時間の場合は7時間)を超える部分の残業(=法定時間内残業、以下法内残業)については、割増率はかけません。
具体例を出すと、①時給が1,500円、②1日の所定労働時間が7時間、という条件の会社で月曜から順に9,8,11,7,9時間働いた場合、以下のグラフのようになります。
(①②は今後全てのシミュレーションで共通の前提条件とします)
この週の残業代を計算すると、法内残業が4時間、法外残業が5時間なので1500×4+1500×1.25×5=15,375円となります。
なお、定時労働制において残業代の計算は一日毎に行います。(今は何を言ってるか分からなくても大丈夫です)
フレックス制
フレックス制とは
一定の期間についてあらかじめ定めた労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・就業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。
例えば期間を1ヶ月と定めた場合、1ヶ月の所定労働時間分さえきちんと働いていれば、この日は早く来て早く帰ったり、この日は遅く来て遅く帰ったり、といった裁量が労働者にゆだねられているのです。
ちなみに多くの会社ではコアタイム(必ず就業していなければいけない時間帯)が設定されています。
コアタイムが10~15時であれば、この時間帯に就業してさえいれば、会社にいつ来ていつ帰っても自由ということです。
もちろん極端に早い出社や遅い退社は禁止されている会社も多いかと思います。
残業代の計算方法
定時労働制の方で述べた、法外残業は1.25倍割増、法内残業は割増無し、についてはフレックス制においても共通です。
じゃあ何が違うかと言うと、フレックス制において残業代の計算は、
清算期間毎(多くの場合は1ヶ月毎)に行います。
この決まりが悪さをしているのです!笑
2019年の10月をモデルに考えてみましょう。
土日祝休みの場合、平日は21日あるので、月間の所定労働時間は7×21=147時間あります。
そして月間の法定労働時間については、少し難しくなりますが「40(週の法定労働時間)×暦日数÷7」で求めることができます。10月は31日まであるので40×31÷7=約177時間です。
つまり2019年の10月は177-144=30時間はどれだけ残業しても割増賃金にならないのです。
まだピンときてない人がほとんどでしょう。では実際に定時労働制と比較してみます。
フレックス制vs定時労働制!
1ヶ月の内1週間だけ忙しかった場合
10/7~10/11の5日間のみ毎日5時間残業、といった条件で比較してみます。
定時労働制の場合は、法内残業が5時間、法外残業が20時間なので、残業代は1500×5+1500×1.25×20=45,000円となります。
フレックスの場合はというと、全て法内残業となり、残業代は1500×25=37,500円と、定時労働制と比較して7,500円も差が開くのです!
なぜなら、先ほど説明したとおり、フレックス制において2019年の10月は30時間までは残業しても割増賃金とならない(=法内残業になる)からです
このように、実は同じ時間働いても貰える賃金は異なるのです。
なんか損した気分になりますよね?笑
これだけでは終わりません。
有給を取ると残業代が減る!?
実はフレックス制においては、有給を取ると残業代が減ってしまうシチュエーションが存在します。
結論から言いますと、「有給を取った時間分だけ法外残業が法内残業に切り替わる(=1.25倍されなくなる)」のです。
きっと皆さんの頭の中は「?」になっているでしょう。笑
押さえておきたいポイントは
①有給は所定労働時間には換算するが、実労働時間には換算しない
②法外残業は、実労働時間が法定労働時間を超えた分だけ支給される
ということです。
例えば、10/30の段階で既に185時間働いていたとします。所定労働時間が147時間、法定労働時間が177時間であることから、現在30時間の法内残業と、8時間の法外残業が発生していることになります。
そして最後10/31に7時間働けば、最終的な残業時間は、法内が30、法外が15となることは分かりますよね?
しかし10/31に体調を崩してしまい有給を取ったらどうなるでしょう?
実労働時間には換算しないため、有給を取った分の7時間は法外ではなく法内残業になってしまうのです。(最終的な残業時間は、法内37、法外8となります)
つまり10/31普通に出社していた場合は、1500×1.25×7=13,125円貰えていたはずが、有給を取ったばっかりに、1500×7=10,500円しか貰えないというわけです。
凄い損した気分ですよね・・
もちろん1日毎に計算する定時労働制ではこんなことは起きません。
なんでフレックスが損する仕組みになっちゃってるの?
理由の一つは、月間の法定労働時間の計算方法に、平日・土日祝日の日数が一切加味されてないからです。
「40(週の法定労働時間)×暦日数÷7」
だから極端な話、2019年の10月が1日以外全部祝日!!なんてお祭り状態になったとしても月間法定労働時間は177時間なんです。
当然その1日にどれだけ残業しても法内残業なわけです。(もちろん深夜残業分の加算は発生しますが)
なのでオススメ残業戦術としては
・平日数が多い月は残業しまくる!有給取らない!
・平日数が少ない月は残業しない!有給取る!
になります。笑
また、一応定時労働制よりもフレックス制の方が残業するうえでお得な月も極稀にあります。(平日が23日もあった2018年8月など)
まぁ滅多にないので気にしなくていいです。
まとめ
じゃあフレックス制の会社はダメで定時労働制の会社が良いかというと、断じてそういうわけではありません!!むしろ私はフレックス賛成派です!!
だって、「今日は夜予定あるから1時間早く帰ろ~」とか「今日は眠いから1時間遅く行こ~」っていう風に出退社時間を操れるのって、定時労働制の人からしたら考えられないことですよね?笑
先ほど、1ヶ月の内1週間だけ忙しかった場合の例を挙げましたが、あの場合も次の週やその次の週で残業した分早く帰れば、そもそも残業代が発生しないので損という概念も消えます!
ただ、今回述べたようなデメリットを書いている記事が少ない気がしたので、取り上げてみたという次第です(´・ω・`)
ちなみに、自分は労務関係の仕事をしているわけではないので、プロの方から見て何か誤りや誤解を生む表現等あればご指摘ください。
会社の残業代の計算方法が良く分かっていない人や、これから就活・転職を控えている人の参考に少しでもなれば幸いです。
※上記はあくまでベーシックな規定の場合の話であって、個々の会社で特別に何か定められている場合は、(法に触れるものを除いて)そちらが優先されますのでご了承ください。